ARM vs Intelの未来の展望

ARMはスマートフォン・携帯電話で広く使われていますが、クロック周波数の割に微妙にIntelのCPUよりも遅く、なんでなのかなーということで調べてみました。

まず、http://www.coremark.org/benchmark/index.phpベンチマークの結果から、色々数字があり、すごく悩みながら信用できそうな数字を拾ってみました。

1コア当たりの性能

名称 性能 備考
ARM Cortex-A8 600Mhz 2.035/MHz Cortex-A8は2010年のスマートフォンの主流
NVIDIA Tegra 250 1GHz 2.646/MHz Cortex-A9は2011年のスマートフォンの主流かな?
Intel Core2 Duo 1596MHz 3.205/MHz
Intel Core i5-650 3200MHz 3.244/MHz

このように、クロック当たりの性能がIntelよりも悪いです。消費電力を増やさないためだと思います。この数字が正しいとすると、今のスマートフォンの1GHzというのは、600MHzな感じです。(JavaScriptベンチマークだと、さらに25%程度遅いイメージがあります)

今のスマートフォンの主流は Cortex-A8 ですが、これから、Cortex-A9 に移行する状態です。NVIDIA Tegra 250 は Cortex-A9 のデュアルコアで、フルハイビジョン (1080p) を再生できます。(まぁ、再生能力は、GPUの力が大きいですが…)

そして、ARMの公称値では Cortex-A8 2.0 DMIPS/MHz、Cortex-A9 2.5 DMIPS/MHz なので、CoreMark は DMIPS と数字を合わせているみたいですね。DMIPS は整数演算がどれくらい実行できるかという指標です。2.0 DMIPS/MHz というのは、1クロックあたり2回計算ができるという意味です。

2010年をにらんだARMの戦略と新CPUコア によると、Cortex-A8, Cortex-A9 は演算論理装置(ALU)が2つです。A8の 2.0 DMIPS/MHz は理屈通りですが、A9 の 25% 増しは、アウト・オブ・オーダー実行を搭載していて、命令を出てきた順番ではなく、高速に実行できるように順番を入れ替えて実行しているので、それによる効果かなと僕は思っているのですが、あんまり自信なし…。

http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/09/10/cortex-a15/index.html によると、Cortex-A9 の次の Cortex-A15 は2013年くらいに主流になるみたいです。ALUが3つになっています。ということは、3 DMIPS/MHz 以上なるのではないかとおもいます。

ASCII.jp:詳細解説 これがSandy Bridgeのアーキテクチャーだ (3/6)|Sandy Bridgeこと新Core iシリーズが登場 によると、Sandy Bridge は ALU が3つです。かなり昔から、IntelのCPUはALUが3つみたいです。だから、Cortex-A15 と Intel のクロック当たりの動作速度が大体同じになる気がします。

ARMのクロック当たりの動作速度は、たぶん、Cortex-A15 で Intel と同じになり一回伸び悩むようになり、クロック周波数を上げるのもチンタラになると思いますし、コア数を増やす方向に行くんでしょうねぇ。まぁ、少なくとも、Cortex-A15 が主流になる時代までは、スマートフォンはどんどん順調に速くなっていく気がします。

数年後のスマートフォンの使われ方

次期版WindowsはARMアーキテクチャをサポート - ITmedia エンタープライズ にあるように、Windows 8 や Office を ARM 対応させることを正式に発表しています。リリース時期から考えて、Cortex-A9 + メモリ1GB を最低ラインにして出荷すると思うのですが、たぶん、パフォーマンス的に問題ない気がします。2012年ならちょっと心配ですが、2013年 (Cortex-A15) なら全く問題ないと思います。

Windows の特徴として、「大きなディスプレイが必要」というアプリが中心です。大きなディスプレイというのは 1024x768 以上の事ね。純粋にスマートフォン内蔵のディスプレイで Windows や Office を使うのは非現実的ですが、スマートフォンから HDMI や無線などでディスプレイにつなぐ使い方が主流だと思います。そして、Bluetooth でキーボードやマウスとつなぎます。そういう使い方であれば、ノートパソコンがさらにダウンサイジングしただけで、一般ユーザーから見たら大差ないと思います。10インチ以上の「モバイル用ディスプレイ」というのも出回るかもしれません。

そして、スマートフォンの小さな画面用には、それ用のアプリが必要なので、今まで通り Android が使われると思います。そうすると、AndroidWindowsデュアルブートになります。たぶん、端末の横にスイッチみたいのがついて、ハイバネーションして Android <-> Windows を行ったり来たりできる端末になる気がします。

数年後の話ですが、結構、この予想自信があるのですが、あたるかな〜?!